作:マーカス・デュ・ソートイ 訳:冨永星 2018年4月26日
イメージ曲「耳のあるロボットの唄(耳ロボP)」
本作を読んでいて思い浮かぶのは、「耳のあるロボットの唄」だ。自分たちが何も知らないことを自覚しつつ、多分、どうあがいてもわからないことはあるのだろうけれど、答えを追い求め続ける…という姿勢は「前を見て 舵を取れ…」の一節に重なる。
作者のソートイさんは、もともとは数学者で、そこから、色々な人に、科学の面白さや、科学の最先端を伝える「シモニー教授職」に就くことになる。
数学以外についてはほぼ素人だったソートイさんは、市民の疑問に答えたり、伝えたりすべく、様々な分野について勉強したり、他の科学者からお話を聞いたりする。(人生とは勉強そのものなのかもしれない)そして、「自分たちがどうあがいても分からないものはあるのか」という疑問に答えようとする。
興味深かったのは、矛盾は生じないとされる数学にも、ある枠組みの中では、正しいことがわかっているのかも絶対に証明できないものがある、ということだ。もともと考えが飛躍しまくるせいか、僕にとって、数学とはいろいろな意味で、超越した存在であり、何一つ欠点のないものであった。しかし、その数学でさえも、どうしようもない穴があるらしい。
本作を通じて、自然科学はその中だけでなく、他の様々な分野ともつながりがあることを再認識することができた。僕も、色々ある中でも、知りたいものや悟りたいものを追い求め続けたいと思う。
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